学校ICT・教師・オンライン教育:コロナ禍の日本の学校閉鎖期のエビデンス
著者: 赤林英夫、田口晋平、ミルカ・ズベデリーコバー
発行日: 2023年3月15日 (改訂版:2024年4月11日)
No: DP2023-008
JELコード: I20, J22, H75
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
2020 年初め、COVID-19 パンデミックにより世界中の学校が閉鎖を余儀なくされ、同時にオンライン教育への切り替えにも困難を伴った。本論文では、日本全国をカバーする行政データを使用して、学校の ICT設備と教師の IT スキルが、オンライン授業の提供、生徒の家族とのコミュニケーション、および閉鎖中や再開直後の教師の勤務時間に与える影響を分析した。供給側である学校における状況の影響を識別するために、公立小中学校のICT資源配分が決定される自治体単位の固定効果モデルを用い、小中学校間のICT資源の差を識別に利用した。その結果、基本的な ICT設備の有無はオンライン授業実施に不可欠だが、教師のIT スキルはそうではないこと、それらはすべて学校と家族とのコミュニケーションへの影響はないことが明らかになった。また、教師のIT スキルは教師の労働時間と関係し、特に、スキルが低いと残業する教師の割合が高くなることがわかった。
2020 年初め、COVID-19 パンデミックにより世界中の学校が閉鎖を余儀なくされ、同時にオンライン教育への切り替えにも困難を伴った。本論文では、日本全国をカバーする行政データを使用して、学校の ICT設備と教師の IT スキルが、オンライン授業の提供、生徒の家族とのコミュニケーション、および閉鎖中や再開直後の教師の勤務時間に与える影響を分析した。供給側である学校における状況の影響を識別するために、公立小中学校のICT資源配分が決定される自治体単位の固定効果モデルを用い、小中学校間のICT資源の差を識別に利用した。その結果、基本的な ICT設備の有無はオンライン授業実施に不可欠だが、教師のIT スキルはそうではないこと、それらはすべて学校と家族とのコミュニケーションへの影響はないことが明らかになった。また、教師のIT スキルは教師の労働時間と関係し、特に、スキルが低いと残業する教師の割合が高くなることがわかった。