本研究では、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に対する予防ワクチンの接種が政治的支持に与える影響を分析した。独自調査のデータを用いて、日本において65歳以上の個人が優先的にワクチン接種を行なっている制度的背景に基づきRDデザインを用いて分析を行った。分析の結果、自身のワクチン接種は自治体のコロナ ワクチン行政や感染防止対策に対する支持を増加させる一方で、中央政府に対する支持は増加しなかった。また、この影響は慢性疾患を持つ個人や社会経済状況が脆弱な個人の間でより強く見られた。この結果の異質性は、互恵主義的動機と政治に関する情報が受益者の政府支持意向において重要であることを示唆するものである。