大学進学の情報が生徒の進学関心に与える影響 (クラスターランダム化比較実験を用いた実証分析)
著者: 森安亮介
発行日: 2021年4月21日
No: DP2021-008
JELコード: I21, I24, J24
言語: 日本語
【要旨/ハイライト】
本稿は、大学進学に関する情報の取得が大学進学希望に及ぼす影響について、高校生を対象としたクラスターランダム化比較実験を通して検証している。具体的には、地方のとある高校1年生 計94名に対して、大学進学の効用に関する情報を提供するトリートメントグループ、大学進学の費用に関する情報を提供するトリートメントグループ、そしてコントロールグループの3つのグループに分け情報提供実験を行っている。 結果、サンプルの対象やサンプルサイズの影響等もあり、大学進学希望については有意な変化は見いだせなかった。しかし、勉強時間で代理した人的資本投資については、情報提供によって有意に上昇していた。また、統計的に有意ではないものの、もともと過大な大卒賃金プレミアムを見込んでいた生徒においては、適切な情報の授受によって進学希望や人的資本投資意欲が減退する傾向も確認された。