シニョレッジに関する一考察:現代的な独立した中央銀行制度の含意

著者: 白塚 重典
発行日: 2026年6月3日
No: DP2026-010
JELコード: E52、E61、E63、H21
言語: 日本語
【要旨/ハイライト】

政府と中央銀行が分離された現代的な中央銀行制度において、シニョレッジ(seigniorage、通貨発行益)は保有する資産と負債の利鞘が源泉となる。しかしながら、銀行券の額面価値と製造コストの差に相当するといった誤解がなお根強い。本論文では、中央銀行が保有する資産と負債の利鞘を源泉とする現代的な中央銀行におけるシニョレッジの概念を整理し、日本銀行のバランスシートと損益状況を通じて、この点を確認する。そのうえで、標準的なマクロ経済学の教科書におけるシニョレッジの定義に、政府と中央銀行の予算制約が分断されていることを考慮することで、利鞘としてのシニョレッジが導かれることを確認する。その意味で、シニョレッジという概念は、通貨発行に関する制度設計次第で変わりうることになる。今後、中央銀行が大きなバランスシートを抱えて金融政策を運営していくことを前提にすると、シニョレッジを的確に理解したうえで、中央銀行の財務と金融政策運営の関係を議論していくことが重要である。