新型コロナパンデミック下の日本における子供のオンライン学校教育へのアクセスと需要

著者: 赤林英夫、田口晋平、ミルカ・ズベデリーコバー
発行日: 2021年7月5日 (改訂版:2022年2月26日)
No: DP2021-013
JELコード: I24, I28, J81
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

新型コロナパンデミックは、日本を含めた世界中で、学校を閉鎖に追い込んだ。 オンライン学習へのアクセスの不平等に関する既存研究は多いが、オンラインでの学校教育と学校外教育へのアクセスを同時に分析した研究は多くない。そして、需要側である子どもの親による学校教育のオンライン化の要望を分析した研究は存在しない。本研究では、2020年5月と12月に収集されたパネルデータを用い、子供の学校と学校外でのオンライン学習の経験について分析した。私立学校に通う子供、所得の高い家庭の子供ほど、学校が提供するオンライン学習をより 多く経験し、所得の高い家庭の子供、高学歴の親をもつ子供ほど、学校外でのオンライン学習を経験している。また、5月から12月にかけて新型コロナ陽性患者が相対的に増加した地域では、私立学校の子供と親の学歴が高い子供において、相対的に、学校外教育でオンライン学習を経験する確率が増加したが、そのような傾向は、学校でのオンライン学習では見られなかった。また、所得の高い家庭、学歴が高い親ほど、学校教育のオンライン化を要望する傾向が確認されたが、母親が正規労働者であったり父親が非正規労働者であった場合には、短期的には、学校教育のオンライン化を要望しない傾向を確認した。