日本の対外直接投資の潜在性

著者: テレサ・グレイニー、清田耕造
発行日: 2020年3月8日
No: DP2020-007
JELコード: F14, F21, F23
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

日本の対外直接投資のストックは史上最高額に達している.しかし,日本や諸外国の経済規模を踏まえると,日本の対外直接投資が過大か,それとも過少かという点は必ずしも自明ではない.本論文はグラビティ・モデルにもとづき,日本の対外直接投資額がモデルの予測(反実仮想)と比べて大きいかどうかを分析するものである.分析には,1996年から2015年までのOECD諸国の二国間対外直接投資のデータを利用した.分析の結果,2015年の日本の直接投資のストック額は,グラビティ・モデルで予測される値を上回っており,その比率はOECD諸国で最大となることが明らかになった.この結果は,日本の直接投資が既にモデルの予測を超えているという意味で,未実現の潜在性は限られていることを示唆するものである.