慶応義塾大学 経済研究所

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家計所得が子どもの教育成果と教育費支出に与える因果的効果:我が国の児童手当改革を用いた検証

直井道生、赤林英夫、中村亮介、野崎華世、佐野晋平、妹尾渉、敷島千鶴

2017年11月13日

JELコード : H24; H31; I21; I28; I38

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【要旨】

本稿は、日本子どもパネル調査(JCPS)を用い、家計所得が子どもの学力と教育費支出に与える因果的効果を検証した。2010年から2012年かけて起こった児童手当(子ども手当を含む)制度の変化により引き起こされた手当額の増減を家計所得に対する外生的な変動とみなし、その変動を利用して家計所得が子どもの学力や教育費支出に対して影響を与えているかを検証した。最小二乗法(OLS)や階差モデル(FD)の推計によると、家計所得と子どもの学力、教育費支出は正の相関を持つことが確認された。しかし、家計にとって外生的な制度変更に伴う受取児童手当額の変化を操作変数として用いた固定効果操作変数法(FDIV)の推計によると、家計所得は学力に統計的に有意な影響を与えていないことから、OLSやFDで観察された結果は因果的効果を示していないことが示唆された。ただし、FDIVの下でも、家計所得は教育費支出に正の影響を与えていることが示された。サンプルをサブグループ(両親の学歴、所得水準、子どもの年齢、子どもの性別)に分けて分析を行ったところ、高所得グループと女児に関しては、家計所得は教育費支出に正の影響を与えていることが示されたものの、それ以外に関しては関係が観察されなかった。