慶応義塾大学 経済研究所

MENU

日本の所得格差と貧困-『全国消費実態調査』(1994-2009)を用いた検証
The analysis of income inequality and poverty in Japan: Using the National Survey of Family Income and Expenditure(1994-2009)

駒村康平、渡辺久里子、田中聡一郎、四方理人

2017年4月27日

JELコード : I32, D31, D63

PDF download

【要旨】

本稿では、1994年から2009年の総務省『全国消費実態調査』を用いて、格差・貧困の推移について分析を行う。既存研究では、格差・貧困指標の計測結果のみに依拠して、各指標の推移を議論していたが、それらの変化が統計的に有意であったかの検討はされていなかった。しかしながら、大規模統計を用いた分析であっても、サブグループに含まれるサンプルサイズが小さければ標準誤差が大きくなり、信頼区間も広がるため統計的推定が必要である。そこで本稿では、ブートストラップ法を用いて格差・貧困指標の標準誤差および信頼区間を推計した。その結果、1994年から2009年にかけて、総人口の格差・貧困指標は有意に上昇していたことが分かった。また、都道府県別の格差・貧困指標について、標準誤差が大きく多くの自治体間において信頼区間が重なっていた。そのため、都道府県の各指標を標本平均のみに基づいて大小関係を比較することは適切とは言えないだろう。