それは真摯な交際か、それともわいせつか?淫行条例が十代の青少年の婚姻行動に与えた影響の実証研究
Prohibiting Sex or Prohibiting True Love? An Empirical Assessment of Effect of Statutory Rape Law on Teenage Marriage in Japan

著者: 赤林英夫、戸田淳仁
発行日: 2017年3月14日
No: DP2017-005
JELコード: J12, K14, K36
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

日本の民法が定める婚姻可能年齢は、男性が18歳、女性が16歳である一方、我が国の地方自治体の定める青少年保護育成条例は、18歳未満の青少年との性行為を、加害者と被害者が「真摯な交際」関係にある場合を除き、「淫行」として処罰の対象としている。これに対し、法が曖昧であるがために、青少年を保護する以上に、結婚に向けた真摯な恋愛を抑制しているのではないか、という批判がある。本研究では、1940年から1990年の間に生まれたコホートの都道府県別データを利用し、地方自治体における青少年保護条例の制定とその罰則の変更は、18歳未満の結婚を減少はさせず、むしろ有意に増加させたことを実証した。同時に、これらの条例が18歳未満の離婚を増加させたという証拠も見られかった。従って、青少年保護条例は、「真摯な恋愛」による性的関係を抑止することで代替的に法的な結婚を促進した可能性がある。そのことは、処罰を恐れるための不本意な結婚を増加させてはいないことからも支持される。