慶応義塾大学 経済研究所

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女性の稼得能力と結婚選択の関係
The Role of Women’s Earning Ability in Marriage Formation

何 芳

2017年3月6日

JELコード : J12, D13, D31

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【要旨】

女性の稼得能力の上昇は,しばしば晩婚化・未婚化,少子化の原因として挙げられている。しかし,生涯未婚率の推移を見ると,未婚化は主に低学歴の男女の間で進んでいることが示されている。本稿は,厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」の個票データを用いて,女性の稼得能力と結婚選択との関係について分析を行った。分析では,学歴などの同じ属性のグループ内の賃金格差が存在することに配慮し,パネル固定効果モデルで推定した対数賃金率を稼得能力の代理変数として用いた。さらに,結婚選択と稼得能力の内生性をコントロールするため,結婚意欲をコントロールした。結果の頑健性の確認のため,OLSで推定した対数賃金率,対数年間労働所得,パネル固定効果モデルで推定した対数年間労働所得が結婚選択に与える影響についても分析し,パネル固定効果モデルで推定した対数賃金率を用いた場合の推定結果との比較を行った。稼得能力が結婚選択に与える影響については,Cox比例ハザードモデルを利用した。以上の分析の結果,女性の稼得能力が高いほど,結婚する確率が高くなっていることが確認された。全体的に晩婚化が進む中,女性にとっても稼得能力が結婚の条件の1つになっていることがうかがえる。また,推定した対数賃金率と年齢階級ダミーの交差項で,稼得能力が与える結婚選択の年齢階級による効果の違いを確認した結果,大学・大学院卒女性では,高い年齢階級の交差項のハザード比は1より小さく,マイナスで有意な効果が検出され,稼得能力が与える結婚選択へのプラスの効果は,大学・大学院卒女性にとって年齢の上昇に伴い逓減していることが確認された。