慶応義塾大学 経済研究所

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「小さな政府」が都道府県立美術館の運営に与えた影響について
The Impact of the Limited Government Policy on the Management of the Japanese Prefectural Museums

谷口みゆき

2016年11月24日

JELコード : H76, D24, H72

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【要旨】

この研究では、都道府県立美術館における展覧会実施の経済効率性の測定、及び、非効率性の要因分析を行うことで、2006年以降、「小さな政府」が都道府県立美術館の運営をどのように変えたのかを、計量経済学の手法を用いて分析している。具体的には、次の4つの仮説について検証している。 (仮説A)指定管理者による美術館運営というよりもむしろ、2006年以降の新公共経営を取り入れる政治的傾向が、都道府県立美術館における展覧会実施の経済効率性の改善につながった。 (仮説B)指定管理者による美術館運営が、都道府県立美術館における展覧会実施の経済効率性の改善につながった。 (仮説C)指定管理者による展覧会の企画・運営が、都道府県立美術館における展覧会実施の経済効率性の改善につながった。 (仮説D)公募によって競争的に選ばれた指定管理者による美術館運営が、都道府県立美術館における展覧会実施の経済効率性の改善につながった。 分析の結果、仮説Cと仮説Dが支持された。したがって、「小さな政府」によって都道府県立美術館で新公共経営が行われるようになったが、展覧会の企画・運営に指定管理者が携わっている場合、また、公募で競争的に選ばれた指定管理者が美術館を運営している場合に、展覧会実施の経済効率性が改善していると言える。