通勤時間と女性就業の都市内格差の空間特性
Spatial dimensions of intra-metropolitan disparities in commuting time and female labor force participation
著者: 河端瑞貴、安部由起子
発行日: 2016年11月11日
No: DP2016-024
JELコード: J21, R12, C30
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
東京都市圏を事例に、都市圏内における女性就業の地理的格差の空間パターン、およびその空間パターンと通勤時間の関係を分析した。Global Moran’s I およびGetis-Ord Gi* 統計値から、女性の労働力率および正規雇用の割合の空間パターンは、配偶関係および子供の有無により顕著に異なることが明らかになった。子供を持つ既婚女性の労働力率および正規雇用の割合の空間パターンは、未婚女性および子供を持たない既婚女性よりも有意にクラスタ化しており、男性の通勤時間と負の関係がある。最小二乗法、空間ラグモデル、および空間誤差モデルを用いた回帰分析の結果、子供を持つ既婚女性の労働力率および正規雇用の割合は通勤時間と有意に負の関係がある一方、未婚女性および子供を持たない既婚女性については有意な関係がほとんど見られなかった。これらの結果は、異なるモデルや空間重み行列に頑健であった。本研究の結果から、女性の通勤労力を軽減する政策は、子供を有する女性の就業を促進することが期待できる。