Do Winners Win More from Transport Megaprojects? Evidence from the Great Seto Bridge in Japan

著者: 小西祥文, 小野あかり
発行日: 2024年8月11日 (初版:2024年2月20日)
No: DP2024-018
JELコード: O18, R4, R11, R12
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

経済学者たちは交通インフラ投資が経済活動に及ぼす異質な影響,特に“ストロー効果”---大規模な道路建設プロジェクトにより,すでに経済的に繁栄した中心都市がさらに恩恵を受ける一方で,周辺都市は経済的損失に直面するという現象--- に関心を高めている.我々は1980 年代から1990年代にかけて「日本列島改造論」の一環として実施された世界最大規模の公共投資である瀬戸大橋が開通した場合にそのような異質な効果が現れるかどうかを実証的に検証する.近年開発された“recentered instrumental variable” を difference-in-differencesデザインに適用し,交通費用の大幅な低下とその低下が予期せず引き起こす市場アクセスの変化を外生的変分として利用する.分析の結果,ストロー効果とは異なって,大規模な周辺都市が中心都市よりもプロジェクトからより大きな経済的便益を享受することが明らかになった.これは,大規模な公共投資に起因する勝者と敗者の地理的な分布は,交通費用の減少が既存のネットワーク構造に対してどのように影響するかによって決まることを示している.