On the Source of Seasonality in Price Changes: The Role of Seasonality in Menu Costs

著者: 宗像晃、篠原武史、白塚重典、須藤直、渡辺努
発行日: 2023年11月21日
No: DP2023-016
JELコード: E31, E32, E37
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
季節性は物価変動の最も顕著な特徴の一つであるが、数量の季節性や物価変動の景気循環的要素に比べると、その分析は著しく少ない。このギャップを埋めるため、日本の199カテゴリーの商品のスキャナーデータを使用し、1990年から2021年までの価格変動の季節性を実証的に研究する。分析結果からは、以下の4つの特徴がほとんどの品目分類で確認できる。(1)物価上昇・下落の頻度は3月と9月に上昇する、(2)物価変動の頻度に関する季節成分は物価変動の大きさの季節成分と負の相関がある、(3)インフレ率の季節成分はネットでみた物価変動の頻度の季節成分と一致する、(4)物価変動の頻度の季節パターンは物価変動の大きさの季節パターンに比べて安定している。しかし、このパターンは、その年の品目分類レベルの年間インフレ率の変化に反応する。次に、簡便な状態依存価格モデルを用いてシミュレーション分析を行い、メニューコストの季節的サイクルが、データで観察される価格変動の季節性を生み出す上で本質的な役割を果たしていることを示す。最後に、メニューコストの季節的サイクルの特性とマクロ経済変動への影響について議論する。