教育志向とケア志向の就学前教育:子どもの発達への示唆
著者: 赤林英夫、ティム・ルーベルク、敷島千鶴、山下絢
発行日: 2023年2月27日
No: DP2023-009
JELコード: C26, H75, I26, J13
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
本論文では、教育志向の就学前教育とケア志向の就学前教育の選択が子供の発達にもたらす因果効果を推定する。その目的のために、日本で、異なるタイプの就学前教育の供給が、地域間や時間を通じて外生的に変動したことを準実験と見なした。推計の結果、教育指向の就学前教育は、数学的および言語的成果の改善と統計的に有意に関連していること、社会情緒的アウトカムにもプラスの効果が見られることがわかった。また、限界処置効果 (MTE) 曲線から、教育志向の就学前教育に入園する確率が低い子供が、潜在的利得が最大であるという、本来あるべき配分と逆の選択が起きている。この異質性は、教育志向の就学前教育の特徴 (教育志向・短い就園時間・ピア効果) により生じていると思われる一方、ケア志向の就学前教育就園による利得はより均一と思われる。
本論文では、教育志向の就学前教育とケア志向の就学前教育の選択が子供の発達にもたらす因果効果を推定する。その目的のために、日本で、異なるタイプの就学前教育の供給が、地域間や時間を通じて外生的に変動したことを準実験と見なした。推計の結果、教育指向の就学前教育は、数学的および言語的成果の改善と統計的に有意に関連していること、社会情緒的アウトカムにもプラスの効果が見られることがわかった。また、限界処置効果 (MTE) 曲線から、教育志向の就学前教育に入園する確率が低い子供が、潜在的利得が最大であるという、本来あるべき配分と逆の選択が起きている。この異質性は、教育志向の就学前教育の特徴 (教育志向・短い就園時間・ピア効果) により生じていると思われる一方、ケア志向の就学前教育就園による利得はより均一と思われる。