新型コロナウィルス感染拡大第一波のもとでインフレは観察されたのか? 東京地区小売店舗のPOSデータによる検証

著者: 肥後雅博、白塚重典
発行日: 2022年9月6日
No: DP2022-013
JELコード: C43,E31
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
本論文では、新型コロナウィルス感染拡大第一波のもとでインフレが観察されたかを検証する。この問題に取り組むために、東京地区小売店舗の日次POSデータを用いて、高頻度の品質調整済み価格指数を構築する。その際、商品特性だけでなく、特売の構造変化や店舗形態による小売サービスの質について明示的な調整を試みている。特に、新型コロナウィルス禍における小売価格変動の検証においては、新型コロナウィルス感染リスクの影響から、自主的なロックダウンが家計の購買行動を制約するため、特売と小売サービスの質の効果に関する調整が重要である。推計結果からは、新型コロナウィルス感染拡大第一波のもとで、1%弱の緩やかかつ一時的なインフレが観測されたと結論付けられる。また、推計結果をもとに、製品単価の上昇と品質調整済み価格の上昇の差を,店舗間代替効果と特売効果に分解している。