本研究では、ピア・ラーニング活動に関する「チーム構成」と「ピア効果」の関係を、フィールド実験をもとに考察した。実験結果によると、ピア・ラーニングの効果は（能力レベルが類似のパートナーで構成されたチームに比べて）パートナー間で能力に差のあるペアで高いと分かった。この能力レベルが異質なチームにおける強い正の効果は、ピア・ラーニングの対象項目にとどまらず、それ以外の項目にも波及して現れる。具体的なメカニズムは、チームで能力の低いメンバーがピア・ラーニング活動を通じて生産性を高く改善することである。本研究結果は、職場や教育環境においてピア・ラーニング活動を導入する際には、能力の異なるメンバーで構成されるチームを外生的に作ることで生産性向上につながる高い学習効果が得られることを示唆している。