新技術が生産性に与える影響—日本の製鉄業における操業改善と生産配分—

著者: 小林 流基
発行日: 2022年2月13日
No: DP2022-002
JELコード: D24, L61, O33
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

本稿では、新技術が生産性に与える影響を生産性変動の要因分解を用いて分析した。生産性の上昇を、 (1)操業改善効果:改良技術も含めた工場単位での操業改善の効果、(2)技術間の再分配効果:旧技術から新技術へ生産の再分配が行われる効果、(3)参入効果:設備の新規設立や新規参入による生産の再分配効果、(4)技術内の再分配効果:各技術内で生産の配分が変化する効果、の4要素に分解する手法を採用した。その結果、新技術の急速な操業改善と参入も含めた技術間の再分配の2つの要因が生産性上昇に同程度貢献しており、両方が等しく重要であったことを示した。また、全体的な配分の効率性は向上したが、技術内の配分効率性は低下していることもわかった。この結果により、転炉技術内の配分効率を犠牲にしつつも、急速に操業技術の進歩する転炉の普及に伴い、生産性が上昇したことが示された。.