大学での奨学金受給と家計の経済状況:JHPS第二世代付帯調査による分析
著者: ⾚林英夫、王杰、小林雅之、佐野晋平、田村輝之、直井道生
発行日: 2021年3月31日
No: DP2021-006
JELコード: I22, I23, I24
言語: 日本語
【要旨/ハイライト】
本稿は、大学在学時点の状況とその当時の親の状況を同時に把握可能な構造を持つJHPS第二世代付帯調査(JHPS-G2)を用い、大学在学時点の奨学金受給と家計の経済状況の関係を記述的に分析した。とりわけ、在学時点の親の経済状況として世帯所得、資産、持家保有状況と大学進学および大学での奨学金受給の関係に注目した。分析結果は以下の通りである。観察可能な属性を制御したとしても、家計所得、資産保有(純資産)と持ち家の有無は大学進学と相関を持つ。所得が低く、金融資産が少ないあるいは負債額が大きい、住宅を保有していない場合、大学での奨学金の確率は高い。経済状況を示す変数を同時に含めたとしても、この関係は観察される。記述的な分析だが、大学進学や奨学金受給に所得だけではなく、資産状況も考慮する必要性を示唆している。