不決定モデルにおける非線形性の役割:期待に起因する流動性の罠への応用

著者: 玉生揚一郎
発行日: 2020月11月28日
No: DP2020-023
JELコード: C62, C63, E31
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

本稿では、経済モデルが不決定である場合の非線形解を導出する新手法を提示している。そのうえで、ゼロ金利制約の存在と、経済主体のインフレ期待のアンカーが外れることによって生じる「期待に起因する流動性の罠」に新手法を応用し、不決定モデルの非線形解を導出している。その結果、解は顕著な非線形性を示すことがわかった。これは、流動性の罠に陥っているもとで、サンスポットへのショックによってインフレ期待が上昇した場合には、インフレ率が上昇してゼロ金利を一時的に脱し、経済主体が非線形的なふるまいをするためである。