多国籍企業・企業内貿易と雇用のボラティリティ

著者: 清田耕造、松浦寿幸、樋口美雄
発行日: 2019年8月9日
No: DP2019-017
JELコード: F1, F16, L25
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

本研究は、雇用のボラティリティ(雇用成長率の変動)と企業の国際化の関係を実証的に明らかにしようとするものである。本研究では1994年から2012年の日本企業のパネル・データをもとに、1) 多国籍企業と輸出入企業との違い、2) 製造業と卸売業の違い、3) 企業間貿易と企業内貿易の違い、を分析している。本研究における主要な結果の1つは、製造業では企業内輸出の比率が高まると雇用のボラティリティが大きくなるが、卸売業では企業内輸入の比率が高まると雇用のボラティリティが小さくなるということである。これらの結果は、企業内貿易を通じた海外の需要・供給ショックの雇用への影響は製造業と卸売業で大きく異なっており、企業内貿易比率が高まると、製造業では外国からの需要ショックが拡大するが、卸売業では外国からの供給ショックが緩和されることを示唆している。