生産的消費仮説と2部門経済発展モデル

著者: 大東一郎、西村和雄
発行日: 2019年2月13日
No: DPDP2019-007
JELコード: O1, O4, E1
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

低所得国においては、労働生産性が栄養、健康、教育の改善をもたらす1人当たり消費の水準に 決定的に依存している。すなわち、1人当たり消費水準が高くなると、労働者1人ひとりの生産性 が向上する。この生産的消費の概念は、Steger(2000a)により初めて成長モデルに取り入れられた。 本論文では、資本外部性のない2部門成長モデルにおいて、社会の平均的な消費水準が正の生産 外部性をもつという仮定のもと、均衡の不決定性が生じることを示す。これにより、資本蓄積が 非常に少ない低所得の発展途上諸国の間で多様な1人当たり実質所得の成長率が観察されるとい う事実を、移行動学の均衡経路に着目することで理論的に説明できる。すなわち、不決定的な定 常状態に収束する無数の移行均衡経路の中から、国ごとに異なる経路が選び出される可能性の あることが示される。