慶応義塾大学 経済研究所

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学校外教育バウチャーが子どもの学業成績および行動面のアウトカムに与える影響:ランダム化実験に基づく実証研究
Effects of After-School Education Vouchers on Children's Academic and Behavioral Outcomes: Evidence from a Randomized Experiment

赤林 英夫、荒木 宏子、田中 隆一

2018年12月6日

JELコード : I21, I22

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【要旨】

本論文では、学校外教育プログラムに利用可能な教育バウチャーが、児童の学業成績および行動面のアウトカムに与えるインパクトを、中学生と高校生の実験データを用いて推定した。特にここでは、東日本大震災の結果被災した子どもに提供された学校外教育のバウチャーの無作為割り当てをバウチャー効果の識別に利用し、学力テスト(数学、国語)、非認知能力(自尊心、生活の質(QOL))など、様々なアウトカムに対する付加価値モデルを推定した。特に、サンプルの脱落や小サンプルに起因する推計バイアスに対処するために、inverse probability weightを回帰分析に適用した。推計の結果、バウチャーの割り当ては、高校生の数学のスコアの上昇、および中学生と高校生の国語のスコアの1年後の増加に正の有意な効果があった。これらの結果は、ノンパラメトリックなpermutation testに対して頑強である。学校外教育バウチャーの配付は、中学生の自尊心スコアに短期的に統計的に有意な負の影響を与えるが、この影響は1年後には有意でなくなった。バウチャー配付は生活の質尺度と正の相関があるが統計的には有意ではない。さらに、バウチャー配付は、自宅での勉強時間に正の統計的に有意な効果を持つが、この結果はpermutation testに対しては頑健ではない。これは、バウチャー配付は、学習時間を増やすことなく子供の学習環境の質を向上させ、その結果、よりよい学業成績が得られることを示唆する。