非支配階級が革命のために団結する条件について -「社会的ジレンマ」ゲーム理論の応用可能性-
著者: 大西 広
発行日: 2018年4月25日
No: DP2018-006
JELコード: B14, C72, D74, P16
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
体制変革のための革命運動をその典型とする社会運動は多くの参加者を獲得できなければ成功することができないが、それには多くの困難が伴う。なぜなら、革命家/改良運動家による運動の成果は運動参加者にのみ限定されず、被支配階級成員全員に及ぶため、一般にはフリーライダーが発生するからである。したがって、被支配階級はどのような条件の下で団結するのか、フリーライダーはどういう条件の下で減らすことができるのかなどの研究を本稿は協力/非協力問題を扱うゲーム理論を使って分析する。
この分析により次の内容が明らかとなった。すなわち、革命前の現状、運動参加による状況の改善度合い、運動参加のコストおよび社会構成員数に依存して、①現状に問題がないために誰も運動に参加しない非問題状況、②現状に問題があっても誰も運動に参加しない囚人のジレンマ状況、③現状変革のために運動する革命家とフリーライダーに社会が分裂するチキンゲーム状況、④人々の一致団結によって革命が成就する非問題状況に分かれることが明らかとなった。