国外所得免除方式の導入が海外現地法人の配当送金に与えた影響:2009-2011年の政策効果の分析
The Effect of Moving to a Territorial Tax System on Profit Repatriation: Evidence from Japan

著者: 長谷川誠、清田耕造
発行日: 2015年7月15日
No: DPDP2015-008
JELコード: H25, F23
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

日本では2009年度税制改正において、外国子会社配当益金不算入制度が導入され、内国法人が海外子会社から受け取る配当が一定の条件のもとで非課税(益金不算入)となった。その結果、法人所得に関する日本の国際課税制度は、それまでの全世界所得課税方式(外国税額控除方式)から国外所得免除方式へと移行した。本論文では、この国際課税制度の変更が、2009年から2011年にかけて日本の多国籍企業の海外子会社から親会社への配当送金に及ぼした影響を分析する。分析の結果、海外子会社の制度変更への反応は内部留保残高の大きさに応じて異な ることが明らかになった。より具体的には、前年度内部留保残高が十分に大きく、配当送金能力が高いと考えられる海外子会社が、この制度変更に機敏に反応し、日本の親会社への配当送金を他の子会社と比べてより増加させたことが示された。さらにそれらの子会社の配当送金は、制度変更とともに立地国の配当源泉税率により敏感に反応するようになったことが示された。