公共財ゲームにおけるピア・ツー・ピアの罰則と反撃の動機:実験による一考察

著者: 亀井憲樹、ケイティ・タベロ
発行日: 2025年8月26日
No: DP2025-019
JELコード: C92, D01, H49
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

公共財ゲームにおいては、ピア・ツー・ピアの罰則が可能であっても、罰則を科された者が反罰できる場合には、効率性が改善しないことがよく知られている。本論文では、意思決定形式の違い(個人かチームか)にかかわらず、反撃が可能であれば分権的な罰則の効果が限定的であることを実験室内実験を行うことで示すとともに、罰則と反罰の動機を考察する。「チーム」が意思決定主体であるトリートメントでは、被験者はランダムに3人組のチームに割り当てられ、コミュニケーションを通じて共同で一つの意思決定を行う。彼らのコミュニケーションのログに対する内容分析の結果、(A)公共財ゲームにおける一次のピア・ツー・ピアの罰則は、主に仲間の低い貢献に対する負の感情的反応によって、(B)罰則を科された者による反罰は、受けた罰則に対する負の感情的反応によって誘発されていることが明らかになった。