輸出企業の生産性プレミアムの地域間格差:理論分析と日本における実証分析
著者: 大久保敏弘、冨浦英一
発行日: 2019年1月7日
No: DPDP2019-002
JELコード: F1,R12,L25
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
近年の国際貿易論での重要な研究課題として、輸出企業の生産性プレミアムがあげられる。生産性の高い企業が輸出企業となる。生産性におけるセレクション効果(自己選抜効果)として知られる。従来の研究では企業の立地する地域の違いや都市と地方を意識することが極めて少なかった。本論文では地域間、特に都心部と地方とに分解して、輸出企業の生産性プレミアムの地域間格差を研究した。結果、都心部での生産性プレミアムは非常に小さく、一方で地方でのプレミアムは大きいことがわかった。都心部では自地域の市場が大きく、一方で海外市場へのアクセスが良いため、輸出企業と非輸出企業との生産性の格差は小さい、あるいは有意な差がない。一方で地方では海外市場へのアクセスが難しい場合が多く、生産性が高い企業のみが輸出企業となり、通常の国際貿易論が想定するセレクションメカニズムが働いていると言える。地方における輸出振興策やインフラ・輸送網の重要性を示唆している。