日本における教育投資と教育成果の男女間格差:日本子どもパネル調査を用いた分析
著者: 赤林英夫、野崎華世、湯川志保
発行日: 2018年3月28日
No: DP2018-004
JELコード: I20, I24, J16
言語: 日本語
【要旨/ハイライト】
近年の研究は、貧困や親の教育水準などの家庭背景が、子どもの性別によって異なる影響を与えている可能性を示唆している。先進国では、教育達成度全般における男女格差の縮小の中で、理数系(STEM)を専攻する比率の男女差は必ずしも縮小していない。その背景における家庭背景の具体的役割、特に金銭や時間の投資行動の差、認知能力と非認知能力の相互作用の役割についての研究は少ない。本稿は、日本子どもパネル調査(Japan Child Panel Survey)を用いて、まず、数学(算数)・国語のスコア、これらの科目への選好、そして親からの金銭的教育投資について、男女差の存在の事実確認を行った。次に、家庭環境がこれらの変数に対して性別ごとに異なる影響を与えるかどうか分析を行った。主な結果として、第1に、数学のテストスコアの平均点や成績上位者の比率に男女差は確認されないが、女子は統計的に有意に数学を好まない、男子は統計的に有意に国語を好まない傾向にあることが示された。第2に、放課後の課外活動への支出の所得弾力性の効果は、女子生徒の方が大きいこと、特に、芸術系の習い事への支出は、有意に男子よりも女子に対して多かった。