日本における所得源による所得格差の寄与度分解
著者: 四方 理人、田中 聡一郎
発行日: 2017年12月27日
No: DP2017-029
JELコード: D31, H24, I38
言語: 日本語
【要旨/ハイライト】
本稿では、『全国消費実態調査』の個票データを用い、現役世代について、1994年から2009年における所得源による所得格差の寄与度分解を行う。分析結果として、世帯主およびその配偶者の就労収入は大きく所得格差を拡大させている。しかしながら、その格差拡大は、3世代同居の減少等による他の世帯員の就労収入の減少および現金給付等のその他の収入の寄与により一定程度相殺されている。そして、税・社会保険料負担の変化については、所得課税の変化が格差を拡大させる方向に寄与しているものの、社会保険料負担が重くなることで、格差を縮小させる影響を与えていた。これらの結果として、個人の就労収入による格差の拡大より世帯でみた所得格差の変動は小さいものにとどまっているといえる。