フェアユースの是非―クリエイターの意見
Are creators for or against to Fair Use?

著者: 田中辰雄
発行日: 2016年12月30日
No: DP2016-28
JELコード: L82,M3,O34
言語: 日本語
【要旨/ハイライト】

権利制限の一般規定いわゆるフェアユースを日本に導入する試みは、権利者団体の反対でついえてきた。しかし、調査してみるとクリエイター自身は権利制限に前向きであり、フェアユース導入に積極的である。フェアユース導入に前向きなクリエイターは7割弱に達しており、この数値は少々クリエイターの類型を変えても変わらない。プロでもアマでも、創作作品が音楽でも画像でも、企業所属でもフリーでも、7割近い人がフェアユース的な権利制限の導入に賛成する。権利者団体の見解とクリエイター自身の見解は大きくずれている。意見がずれる理由は、審議会におけるフェアユースの議論の仕方がフェアユースの趣旨からずれているためと考えられる。フェアユースの論拠は社会全体の利益の最大化と市場の失敗にあるが、審議会の議論はそれを踏まえていない。クリエイターとの意見のずれを修正しようとするなら、審議会での議論の仕方自体を変える必要があるだろう。