東日本大震災が幸福感に与えた影響
Effects of the Great East Japan Earthquake on Subjective Well-Being

著者: 石野卓也、亀坂安紀子、村井俊哉、大垣昌夫
発行日: 2014年12月
No: DPDP2014-010
JELコード: I18, I31, I38
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

本論文は、大規模パネル調査によって収集された4000件を超える回答を使用して、東日本大震災前後の日本人の主観的厚生(幸福感)と利他的価値観の変化について分析を行っている。その結果、1)震災前と比較して震災後に幸福感が改善したと回答する人々のほうが、悪化したと回答する人々よりも多かったこと、2)震災後は、震災前よりも利他的な価値観を持つようになったと回答した人々のほうが多く、このことは被災地にもあてはまることが明らかにされた。このような調査結果が得られた理由として、震災後に利他的な価値観が高まった人々や震災前から利他的な価値観を持っていた人々が、震災関連の寄付を行い、その結果としてそれらの人々の主観的厚生が高まったといった解釈が考えられる。本論文では、このような可能性について実証分析を行い、この解釈と整合的な結果が得られたことを示している。