台風災害時における「輸出入申告官署の自由化」制度の利用状況について:
関西国際空港と成田国際空港の事例
著者: 笹原彰、伊藤史治、根岸辰太朗、大塚高規、髙間華代
発行日: 2025年6月30日
No: DP2025-013
JELコード: F14, R41, N75
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
本研究では、取引レベルのデータである輸出入申告データを用いて、2018年台風21号の関西国際空港への上陸時及び2019年台風15号の成田国際空港への上陸時に、輸出申告及び輸入申告の両方について、「輸出入申告官署の自由化」制度の利用率がどのように変化したかについて分析を行った。2018年台風21号の事例では、輸出入ともに自由化制度の利用率が台風上陸後に上昇し、その後数週間かけて元の水準に戻っていったことが分かった。台風被害による空港閉鎖に対応するために、自由化制度が一時的に活用されたことが示された。また、2019年台風15号の成田国際空港の事例は、大規模かつ長期的な停電被害が発生した空港外南エリアにおいて、特に輸出において、台風上陸後に自由化制度の利用率が上昇し、その後も高水準で推移したことが示された。このことは、当該台風を契機に輸出者の行動が変容した可能性を示唆している。