日本における幼児教育の収益率:全国的拡大期を使った推定値

著者: 赤林英夫、田中隆一
発行日: 2024年4月12日
No: DP2024-011
JELコード: I22, I28, H75
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
本稿は幼児教育投資の内部収益率の新たな推定値を提示する。日本で1960年から1980年にかけて、幼児教育が全国的に拡大したことを利用し、まず、男性の高校卒業率と大学進学率に対する就学前教育の影響を評価した。次に、全国の賃金統計を利用して期待賃金プロファイルを予測し、政府資料に基づいて就学前教育の社会的費用を考慮した上で、男性の就学前教育に対する社会的収益率を計算した。結果として、就学前教育の社会的収益率は5.7%から8.1%の範囲であった。これは既存研究で推定されたアメリカをはじめとする諸外国での幼児教育の収益率と概ね一致している。