What Does the Yield Curve Control Policy Do?*

著者: 白塚重典
発行日: 2024年2月5日
No: DP2024-002
JELコード: E43, E52, E58, G12
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
日本銀行(BOJ)の現在の金融政策の枠組みは、長短金利操作付き量的・質的金融緩和(QQE w/ YCC)である。YCCの枠組み YCCの枠組みでは、オーバーナイト物政策金利に -0.1%、10年物長期国債(JGB)金利にゼロ%と、満期の異なる2つの金利に目標を設定している。YCCは、短期から長期までの金利を低位安定化させるのに有効に機能しているようにみえる。本論文では、日銀のYCC政策がどのような役割を果たしているのかという論点について、銀の国債市場操作の実務的な詳細も十分に考慮しつつ、日本国債市場とオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場のイールド・カーブ・ダイナミクスという切り口から考察する。実証的な証拠は2つの点を示している。第1に、日本銀行による国債市場介入は、緩やかな右上がりのイールドカーブの円滑な形成を促すという政策目的とは対照的に、むしろイールドカーブ全体の変動を増幅させている結果となっている。第2に、日銀の高ストレス時の国債買い入れは、一見積極的に見えるが、実際には YCCキャップに対する市場の圧力に対抗するための受動的な対応である。これらの結果は、YCC政策が効果的な緩和効果を生み出すことなく、単に YCC政策の枠組みを維持するために実施されていることを示している。