制度選択における個人・チーム不連続性効果 ― 自発的公共財供給実験からの事実

著者: 亀井 憲樹、ケイティ タベロ
発行日: 2022年11月10日
No: DP2022-015
JELコード: C92, D72, H41
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
本研究の目的は、制度選択における意思決定主体としてのチームと個人の行動比較を、実験室内実験の手法を用いて考察することである。被験者は、有限回繰り返し公共財ゲームにおいて、正式な罰則とインフォーマルな罰則の選択を投票で行った。グループに正式な罰則スキームが遂行された場合には、チームは個人よりも非協力行動に対して強い抑止力を有する罰則制度を構築し、高い協力規範を実現した。グループがインフォーマルな罰則スキームを導入した場合には、チームは個人よりも非協力者に罰則を集中的に科し(反社会的な罰則行動を抑制し)、それにより高い貢献行動を持続した。このように検出された行動パターンは、熟議と学習を通じた行動経済学におけるいわゆる「真実は勝つ」効果(“truth wins”)で説明される。本実験結果は、ただ乗りなどモラルハザード問題への対処法として、組織内に意思決定主体としてチームを持つことの有効性を示唆している。