ソロー型および半内生成長モデルにおける人口減少率:実証的妥当性と養育費の役割

著者: 大東一郎
発行日: 2020月1月29日
No: DP2020-004
JELコード: J11, O11, O47
言語: 英語
【要旨/ハイライト】

人口減少経済においては人口増加経済と異なる性質をもつ均衡成長経路が生じうることが、ソロー型および半内生成長モデルを用いた研究により明らかにされつつある。だが、そうした均衡動学が生じるために必要な人口減少率(の絶対値)は、現在利用できる実証データや人口推計に照らして大きすぎることも知られている。本論文では、第1に、半内生成長モデルでは、複雑な均衡動学が生じる人口減少率の理論的な臨界値が「知識の蓄積に伴う外部経済効果」によって小さくなり、国連の人口推計と整合的な小さな人口減少率のもとでも複雑な均衡動学が生じうることを示す。第2に、外部経済効果を伴わないソロー型新古典派成長モデルでは、「子供の養育費」を明示的に取り入れることにより、均衡動学の性質が変化する人口減少率の臨界値を小さくできることを明らかにする。最後に、ソロー型成長モデルを用いて、人口減少の下で養育費のもつ経済成長への含意を考察する。