期待に起因する流動性の罠を阻止するための徴税ルール
著者: 玉生揚一郎
発行日: 2019年1月29日
No: DP2019-005
JELコード: E61,E62,E63
言語: 英語
【要旨/ハイライト】
本稿では、標準的なニューケインジアンモデルを用いて、期待に起因する流動性の罠(expectations-driven liquidity trap、以下ELT)は、リカーディアンかつインフレ感応的な徴税ルールを導入することで阻止することが可能であることを示す。 ・そのうえで、ELTを阻止するためには、ELTの持続性が高い場合ほど、税率はインフレ率に対してより大きく反応する必要があることを示す。 ・さらに、ELTが再帰的であると仮定した場合、ELTが一時的であると仮定した場合と比較して、税率はインフレ率に対してより大きく反応する必要があることを示す。このことは、財政政府が税率ルールのパラメータを設定するにあたっては、ELTが一度限りの事象ではなく、再帰的な事象である点を考慮する必要があることを示している。