市町村の予防接種助成政策
Vaccination policy of Japanese municipalities

別所俊一郎、井深陽子

2016年3月7日

JELコード : I18, H75, H77

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【要旨】

日本の予防接種政策は他の先進国と比較して2つの点で遅れているといわれる.ひとつはワクチンの認可が遅い点,もうひとつは国際的に広く用いられているワクチンのいくつかが予防接種プログラムに含まれていない点である.日本の市町村のいくつかは,国の予防接種プログラムに含まれていない任意接種に対して助成を行っている.本稿は,市町村の予防接種助成政策の決定過程を,市町村間の相互依存に注目し,2010年のデータを空間ラグモデルに適用して分析するものである.結果は以下の3点にまとめられる.第1に,市町村がどの予防接種を優先するかについて系統的な順位は存在しない.第2に,助成政策は同じ県内の隣接市町村の政策とは統計的に相関するが,隣接していても県外の市町村の政策とは相関しない.これは市町村が同一県内の市町村とヤードスティック競争をしていることを示唆している.第3に,他の社会経済要因・財政状況と助成政策のあいだに相関は検出されなかった.