海外直接投資の動向と理論・実証研究の最前線
A Survey of Theory and Empirics of Foreign Direct
Investment

著者: 松浦寿幸
発行日: 2014年7月
No: DP2014-002
JELコード: F2, L2
言語: 日本語
【要旨/ハイライト】

本稿は、近年の海外直接投資の動向を概観し、その決定要因、ならびに投資国・被投資国の経済に及ぼす影響についての理論・実証研究を展望する。かつての理論研究は、投資収益率と国際的な資金フローに注目するものや、自国と外国の二カ国から構成させる世界で直接投資の動機やその影響を論じるものが多かったが、近年では企業の異質性を踏まえた研究や三カ国以上の国・地域を想定した理論研究が増加している。また、実証研究においても、国レベル、あるいは産業レベルのデータを用いた実証分析が主流であったが、ここ十数年の間に企業レベルの実証研究が増加してきており、より詳細な政策評価を試みるものも増えてきている。最後に、こうした海外直接投資の研究動向を踏まえて、今後必要とされる理論的枠組み、データベース、実証的枠組みについて述べる。