東日本大震災後の人口移動と雇用
Changes in Population Movements and Employment after the Great East Japan Earthquake

何 芳

2015年3月

JELコード : J1, J6

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【要旨】

本稿では、「住民基本台帳人口移動報告」、「労働力調査」、「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」などの政府統計および個票のパネル調査「慶應義塾家計パネル調査」(KHPS)、「日本家計パネル調査」(JHPS)を用いて東日本大震災が人口移動と雇用にどのような影響を及ぼしたのか、そしてそれは時間の経過とともにどのように変化したのか、について分析を行った。 人口移動と被災地の労働市場の状況について東北3県を中心に政府統計で確認した結果、以下の3点が確認された。1)東日本大震災後に、東北3県では人口の転出超過を経験し、労働力人口が減少した。2)震災直後に有効求人倍率が低下し、失業率が上昇したが、2012年第4四半期、2012年第2四半期から安定した有効求人倍率の上昇と完全失業率の低下が見られた。 個票のパネル調査を用いて、プロビットモデルで無業化と新規就業に関して実証分析を行った結果、以下の3点が確認された。1)東日本大震災が雇用に与える負の影響は、主に震災発生3ヶ月後と震災発生6ヶ月後に観察された。2)調査時点ダミーと災害救助法適用地域ダミーの交差項が有意になっておらず、被災地とその他の地域の時間の経過に伴う変化の差が観察されなかった。3)労働所得が低い者のほうが無業化する傾向があり、若年層のほうが新規就業する確率が低い。