政治選抜トーナメントと環境政策―中国の地方政府間競争はグリーン成長を実現できるか?―
Political Selection Tournament and Environmental Policy in China

澤田英司
徐一睿
Eiji Sawada, Xu Yirui

2014年2月

JELコード : H7,H11,Q50

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【要旨】

中国では、経済成長への強いインセンティヴを末端にまで浸透させる方法として、地方の人事権を中央政府が有し、成果に応じて上位政府へ選抜する「政治選抜トーナメント」方式がとられてきた(周,2009)。この方式による地方統制は経済成長という点においては一定の成果を挙げている一方で(Li and Zhou,2005)、環境問題や社会保障といった多くの社会問題への対応のために、他の統制方法を併用する必要性が指摘されている(徐,2012)。本研究は、以上の議論について、Rosen(1986)の勝ち抜きトーナメントモデルを用いて、経済理論的アプローチから検証を試みた。政治選抜の基準として、環境水準へのウェイトを高めることで、環境改善への支出を増やすことができるが、あまりに大きなウェイトのもとでは、経済主体は一切の環境改善をやめてしまう場合がある(昇進の放棄)。そのような場合、政府が財産権を行使し、上位政府と下位政府での間で、十分な所得あるいは予算の開きを設けることで、昇進の放棄を回避することができる。